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シンポジウム「博物館から発信する先住民族の人権」

シンポジウム「博物館から発信する先住民族の人権」〜アイヌモシリ・チュゥベッ(北海道旭川市)の先住民博物館から考える〜

静岡県立大学国際関係学研究科附属グローバル・スタディーズ研究センター共催

日時 2009年3月20日(金)13:15開始(13:00から受付)
場所 静岡県コンベンション・アーツ・センター『グランシップ』映像ホール(2F)
スケジュール 講師による講演(13:15〜14:45)、シンポジウム(15:00〜16:30)
講師 川村兼一氏(川村カ子トアイヌ記念館 館長)
   鹿田川見(旭川市博物館 学芸員)
   塚田高哉(アイヌチセ保存会 事務局長)
コーディネーター 藤巻光浩(静岡県立大学国際関係学部准教授)
交通アクセス JR東静岡駅南口から徒歩3分(http://www.granship.or.jp/
問い合わせ 「博物館から発信する先住民族の人権」シンポ事務局(ainusympo320@yahoo.co.jp
チラシ filePDFをダウンロードできます。

概要

 近代博物館(美術館や科学館も含むミュージアム)は先住民族と深い関係がある。自然科学館においては、先住民族は「未発達」段階にあるものとして先住民族は展示され、歴史博物館においては、過去の存在として滅亡した民族として展示された。また、先住民族は、美術史のなかに取り込まれるかたちで、あくまでも同化の対象として位置づけられてきた。
 このように「辺境」に配置されることになった先住民族であるが、ミュージアムにとっては必要不可欠の存在であった。なぜなら、ミュージアムの紡ぎあげる物語にとって重要な歴史観や文明観、そして美の基準などを図る上で先住民族の工芸などとの比較はなくてはならないものであった。19世紀から20世紀にかけては、ミュージアムが意欲的に先住民族の様々な物品を収集し、ミュージアムそのものの存在意義のみならず、国民国家に不可欠な世界観を生み出してきたのである。それにも関らず、ミュージアムは、上記のように先住民族を「辺境」に配置したのであった。
 日本では、1997年に「アイヌ文化振興法」が「旧土人保護法」に変わり、先住民族の文化振興が行われるようになった。また、2007年9月に、国連総会で所謂「先住民族の権利宣言」が採択され、それを受ける形で、2008年6月に日本の国会でアイヌ民族を先住民族とする決議が採択された。現在、先住民族に関する権利が、まだ眼には見えるものにはなっていないが、唱えられるようになった。この文脈の中で2008年11月に、北海道の旭川市博物館が展示をリニューアルさせ、「アイヌ民族博物館」として生まれ変わった。アイヌ民族の学芸員を擁し、地元のアイヌ民族の共同体との連携を密に行い展示内容のリニューアルを遂行したこの博物館は、従来の<制度>としての近代ミュージアムから、先住民族博物館へと脱皮した点において注目に値する。
 今回は、旭川市博物館から学芸員の鹿田川見氏、旭川で先住民族記念館を運営する川村兼一・シンリツ・エオリパック・アイヌ氏、そして旭川でアイヌ民族伝統住居チセ再建プロジェクトを手掛けた塚田高哉氏を招き、議論を展開していただく予定である。

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