このたび、静岡県立大学国際関係学部の主催、そして本センターおよび広域ヨーロッパ研究センターの共催で、高知大学の川本真浩先生をお招きし、ZOOM講演会を開きます。奇しくも今年は4年に一度のコモンウェルスゲームズ開催年、7月末に開会します。ご関心のある方も「コモンウェルスゲームズって何?」という方も、みなさまふるってご参加ください。
1930年、カナダの都市ハミルトンでイギリス帝国の総合スポーツ大会であるエンパイアゲームズが開催された。その後4年ごとに開催されるようになった大会は、20世紀中葉以降の参加国/地域の急増と数度の大会名称変更を経て、21世紀の今もコモンウェルスゲームズとして開催されている。 また1931年にはイギリス本国と帝国内の白人自治領を中心としたコモンウェルス(英連邦)が設立された。このコモンウェルスも、第二次世界大戦後にアジア、アフリカ、西インド諸島などの新興独立国が続々と加盟し、また国際情勢の変化をうけて、変貌をとげてきた。 これらスポーツ界と政界のコモンウェルスは、「単一の構想や共通の理念に基づき一体のものとして形作られた」わけではなく、またいずれも「帝国の遺産」という一言で片づけられるものでもない。本講演では、エンパイアゲームズの始まりからコモンウェルスゲームズの現在までをたどりながら、2つのコモンウェルスとその歴史的変容、帝国意識とナショナルアイデンティティ、さらにはスポーツと政治の関係を歴史的に考えてみたい。
川本真浩 かわもとまさひろ 奈良県出身 高知大学人文社会科学部・教授 専門分野はイギリス近現代史、帝国=コモンウェルス史、スポーツ史。主な研究テーマとして、イギリスで開催された国際博覧会、イングランドのパジェント(野外歴史劇)ブーム、エンパイアゲームズ及びコモンウェルスゲームズなど。イギリス発祥で500年以上の歴史をもちコモンウェルスゲームズ公式競技でもあるローンボウルズについては歴史研究とあわせて実技授業も担当する。最近はスポーツやイベント参加といった「余暇」「レジャー」に関心を引き戻してイギリス/帝国/コモンウェルスの近現代史を再検討しようと考えている。