静岡県立大学国際関係学部を中心とする学生有志は、静岡市の中山間地域とケニアのマサイマラ地域の間で、獣害など「里山」に共通する問題点を共有することを目指してesp(e-satoyama project)と題する活動を実施してきました。
espは、「いい里山プロジェクト(e-satoyamaproject)」の略称で、静岡とアフリカの間で、環境(environment)や教育(education)などにかかわる様々な問題点を共有することを目指す実験的な試みです。従来の国際協力や現地調査の問題点を乗り越えて、問題の当事者同士として対等の立場で途上国とかかわることを目指しています。
espでは、2017年3月1日から10日まで学生6名がケニアのマサイマラ地域を訪問して、これまで誰も考えつかなかった「マサイ目線の動物図鑑」の作成に挑戦し、野生動物による獣害の問題解決とマサイの名誉回復に立ち向かいます。
ケニア南部のマサイマラ地域では、地域住民のマサイの人々が野生動物の獣害被害に苦しんでいます。ライオンやバッファローに襲われて死亡したり重傷を負ったりしたケースもみられ、農業開発や学校教育にも悪影響を及ぼしています。しかし、マサイの人々は野生動物の保護に協力的でないとみなされてきました。
2015年に国際関係学部学生がespの活動の一環として現地で海外フィールドワークを行った際に、マサイの人々はこうした状況にもかかわらず、野生動物を敵とみなさず、野生動物と共存してきたことを知り、衝撃を受けました。それがきっかけとなり、今回、「マサイ目線の動物図鑑」を作成するプロジェクトが提案されました。このプロジェクトは学生による新発想で、昨年度、espが伊豆の国市で取り組んだ「女子目線」の観光マップの発想が受け継がれています。
静岡県の中山間地域も人口減少の影響で野生動物の被害に苦しんでいますが、日本製の獣害対策機器をマサイマラに持ち込んで実験を行うことも計画されています。つまり、人口減少がもたらした国際協力の予期せぬ可能性を追求します。
Facebookおよびクラウドファンディングのサイト(2017年2月24日締め切り)も立ち上がりました。クラウドファンディングにご協力いただいたみなさんには、おみやげも用意させていただく予定です。
皆様のご協力とご支援をお待ちしております。