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講演会「タイの華人系慈善団体の歴史と活動」

 静岡県立大学大学院国際関係学研究科附属グローバル・スタディーズ研究センターでは、講演会「タイの華人系慈善団体の歴史と活動」を下記要領で開催します。

  • 日時:2017年1月19日(木)14:40-16:10
  • 場所:国際関係学部棟4階3314室
  • 講師:玉置充子さん(拓殖大学海外事情研究所附属台湾研究センター研究員)
  • 講演テーマ:タイの華人系慈善団体の歴史と活動

講演の内容

 タイにおける華人系慈善団体について、20世紀初頭に設立されたバンコクの「華僑報徳善堂」を中心に、歴史的背景と活動を紹介します。

 19世紀後半以降、東南アジアに移住した華人は地縁、血縁、業縁といった共通項を紐帯にさまざまな団体を組織してきました。慈善団体もその一つであるが、特に、潮州(広東省南東部)華人の割合が高いタイにおいては、民間宗教文化と結びついた「善堂」と呼ばれる慈善団体が、徳教会や明聯、蓬莱逍閣といった同類の組織を含め、活発に活動しています。なかでも、華僑報徳善堂は、民間信仰に根ざした華人の相互扶助組織から、しだいに援助対象をタイ社会全体に広げ、豊富な資金力を背景に事業を多角化し、タイ最大の民間慈善団体と言われるまでに発展しました。善堂はタイ社会の政策や宗教に抵触することなく、布施の形で多額の活動資金を集めて公益的事業を行い、政府の福祉を補完するとともに、富の再分配に関わってきました。タイは華人のホスト社会への同化が進んでいると言われますが、こうした善堂のシステムは、華人のホスト社会への融合に一定の役割を果たしてきたと考えられます。

 そこで、華僑報徳善堂の一世紀にわたる活動の変遷を概観すると同時に、慈善事業への協力を通してタイ各地の華人団体とのネットワークが構築されていることにも注目し、華人系慈善団体のタイ社会における位置づけや受容の過程を考察します。

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